薬の管理と基礎知識


1.薬の種類
2.おくすり手帳とは?
3.薬が効くしくみ
4.薬の使い方
5.薬を服用するタイミング
6.薬の誤飲
7.食品と薬ののみあわせ
8.服薬管理

1.薬の種類
 薬の名前には、商品名と一般名があります。例えば解熱鎮痛消炎剤として広く知られているバファリンは商品名で、一般名称はアセチルサリチル酸といいます。 新薬は、動物実験、臨床治験などの実験の結果、薬効が認められれば厚生労働省で認可され、市販されます。あまり知られていないメーカーの薬は信用度の問題であまり使われない傾向がありますが、いずれは国は商品名ではなく一般名でも承認して来ると思われます。 高齢者の自宅の薬箱には、正露丸、キンカン、市販の風邪薬など、昔からあるような薬が入っていることが多いと思います。市販の薬は誰でも使えるように処方されていますが、医師の処方箋が必要な薬は本人の体質などを考慮して調合されているため、他人が使うことはできません。例えば風邪をひいて医者にかかると、単品の薬を組み合わせ何種類もの薬を渡されます。しかし、誰でも買える市販の風邪薬は数種類の薬がひとつの袋に入っています。病院の薬と市販の薬にはそのような違いがあります。


2.おくすり手帳とは?
 おくすり手帳というものがあります。いつも服用している薬の種類や内容を患者に聞いても、わからない人が多いのですが、神戸の震災で医師がボランティアで現地に入った時、たまたま神戸市薬剤師会は薬の手帳をつくっていたため、大変役に立ち、それがきっかけとなり、おくすり手帳が制度化されることに一役かったとも聞きました。 高齢者は複数の科で診察を受けることがよくありますが、医療機関間のコミュニケーション等があまりうまくとれていない場合、重複して薬が処方されていることも多くあります。しかし、それで事故が起きても患者の自己責任が問われる可能性もあり得ます。複数の科で診察を受けている人は、自分が使っている薬を記入したおくすり手帳を医師や薬剤師に見せることをお勧めします。おくすり手帳を複数持っている場合には、1冊にまとめた方が良いと思います。

≪おくすり手帳記入例≫
おくすり手帳記入例


3.薬が効くしくみ
 薬は口から入れて胃酸で溶かし、腸で吸収し、肝臓で代謝するしくみになっています。胃が胃酸で溶けないのは、自己消化しないしくみができているからです(胃潰瘍は自己消化の例)。薬は胃では消化されません。胸焼けは食道と胃の間の弁(噴門部)が加齢によりうまく働くなくなり、胃酸が逆流する現象です。
 薬は肝臓で解毒されます。半分くらいは代謝により効かなくなりますが、半分は別の物質に代わり、血液に乗って肺や心臓へ運ばれ、肝臓、腸に戻ってきて、最後は大小便となって排出されます。


4.薬の使い方
 坐薬は吐き気がある時や発熱時に使いやすい薬です。排便した後、先のとがったほうから肛門の奥へ見えなくなるまで入れます。第2関節が入るくらいまで差し込むと良いでしょう。37度前後で溶けるようになっています。
 内服薬は即効性はありません。錠剤、カプセル、粉薬、液体など、さまざまな形があります。
 外用薬は軟膏や貼り薬などです。冷湿布は急性の時、温湿布は慢性の病気に使うと言われていますが、患者が気持ちがよいと感じれば、どちらを使ってもかまいません。冷湿布にはL-メントールという成分が含まれていますが、清涼感があるというだけで実際に冷やすものではありません。
 注射は即効性があります。
 目薬は、点眼した後で目をぱちぱちする人がいますが、涙管に流れてしまうためかえって効果がなくなってしまいます。1滴点眼した後はきれいな手で目頭を押さえるようにするとよいでしょう。


5.薬を服用するタイミング
 人間は一日に3回食事をするという前提で、一日あたりの総量を3回に分けることが慣例になっていますので、場合によっては食事の回数に関係なく服用してもかまいません。
 ただし、抗生物質は血中で溶けるタイミングが大切なので時間で投与します。風邪のウィルスには効きませんが、二次感染で肺炎を起こす可能性が考えられる場合には処方されることがあります。救急医療では、薬が効いている状態を保つよう投与しています。
 胃薬は空腹時に服用するのが良く、また他の薬の中には牛乳と一緒に服用すると吸収が良くなるものもあります。しかし、牛乳と一緒に服用してはいけない薬もあります。喘息の薬や市販の便秘薬(コーラック)などがあります。おくすり手帳には、薬ののみ方に関する注意書きがあるので参考にしてください。
 薬をのむタイミングは、時間が均等であればOKです。赤ちゃんや子どもの場合は、朝食時、おやつ時、寝る前といったように、起きている時間を3等分して考えるとよいでしょう。
 最近は1日1回服用すればよいという薬も出てきました。モーニングサージ(早朝高血圧)といって朝は血圧が高くなることから、高血圧の薬は朝に服用することを勧めています。
 高齢になると薬ののみ忘れという問題も出てきます。のみ忘れを防ぐには、朝・昼・晩に薬を仕分けして収納できる薬箱などを活用すると良いと思います。
 「食前」は食事の前30分くらいをさしています。食事をして血糖値があがったところで症状をおさえる薬は「食前」にのみます。
 「食後」は食事のあと30分以内をさしています。
 「食間」は食事のあと2時間後くらいをさしています。食事をしてから2時間後、胃が空っぽになるタイミングで服用します。薬の効き方が遅い漢方薬などで吸収を良くする目的があります。
 「食直前」は食事のすぐ前をさしています。ビタミンDなどは食直前に服用します。
 「食直後」は食事のすぐ後をさしています。糖尿病の薬などは食直後に服用します。
 「就寝前」は、寝る30分くらい前をさしています。30分〜40分で効く薬をのみます。薬効のピークは2時間です。
 「頓服」は必要に応じてのむ薬です。
 症状が改善したといって途中で薬をのむのをやめてしまうのは良くありません。抗生物質など、途中でやめると効果がない薬もあります。
 のみ忘れもよく問題になりますが、1回、2回のみ忘れても、病気の内容にもよりますが、たいていの薬は大丈夫なことが多いです・・。1日1回の薬をのみ忘れた場合、昼2時くらいまでならのんでもよいでしょう。暑い時期には、高齢者では薬ののみ忘れよりも、むしろ脱水症状のほうが危険です。1回あたり煎茶椀1杯程度の水分をこまめにとるのがよいと思います。


6.薬の誤飲
 糖尿病と心臓の薬は、特に誤飲に注意しなければなりません。
 また、家庭では掃除用の薬剤をのんでしまうというケースも多くなっています。酸性よりアルカリ性の薬剤の方が危険性が高いです。家庭で薬剤を出しっぱなしにしておくことは良くありません。


7.食品と薬ののみあわせ
 アルコールと一緒に薬をのむと、薬が効きすぎたり、逆に効き目を弱めてしまう場合もあるため、一緒に飲まないでください。お酒をのんだときは、3時間くらいあけてから薬をのんだほうが良いでしょう。またリポビタンDのようなドリンク剤もアルコールが少し入っている場合があるので、一緒にのまないほうが良いと思います。
 ビタミン剤と薬のとりあわせも良くありません。ビタミン剤には脂溶性、水溶性の2種類があります。脂溶性のビタミン剤はたくさんのむと肝臓障害になりやすいですが、水溶性のビタミンは多く摂り過ぎた場合は小便で排出されるので、健康な人なら5gくらいならばのんでも大丈夫です。
 セントジョーンズ・ワートという、ストレス抑制に効果のあるハーブの一種は、喘息薬と一緒に飲んではいけません。
 牛乳は脂溶性のため一緒に飲むと吸収を高める場合もありますが、コーラックという市販の便秘薬と一緒にのんではいけません。
 グレープフルーツジュースは、血圧を下げる薬をのむ場合には影響があります。
 いずれにしても、薬はなるべく水でのむのが良いと思います。のみ合わせがよくない食品があるということを覚えておきましょう。


8.服薬管理
 医療用の薬品が市販されている場合があります。H2ブロッカー(商品名:ガスター10など)や鎮咳薬のブロンなど、良く効きますが頻繁にのまない方がよい薬もあります。相談できる薬剤師を見つけておくことが大切だと思います。
 のみわすれ防止には薬カレンダーが役に立ちます。また、薬をもらうとき、薬を種類別に仕分けせず、朝用・昼用・晩用など、飲むタイミングによって最初から薬を仕分けしてもらうのもひとつの方法だと思います。
 高齢者には剤形(薬の形状)によってのめる薬、のめない薬があります。医師が必要性を認めて処方した薬をきちんとのんでいるか、他の薬をのんでいないか、正しく薬をのめているかどうか?の確認が必要です。
 薬には必ず副作用があるため、複数の病院に通院している場合は、主軸になる病院がどこなのか、決めておくことも必要です。


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