開催期日 / 2005年10月9日(日)〜10日(月・祝)
会   場 / 広島国際会議場・広島県立総合体育館
広島国際会議場 日本薬剤師会学術大会看板 広島県立総合体育館


西暦2005年、秋――
第38回日本薬剤師会学術大会が広島で行われた。
アドニスからは7名の精鋭が送り込まれ、
己の研鑽と会社の発展を目的に情報収集にあたった。
以下の文章は参加者の報告書を元に編集したものである。

お薬手帳に関して
 お薬手帳について通常の活用方法と一味違った使い方に関する発表が数多くあった。
 患者に投薬する際、質問が多く寄せられる薬の使用方法・食事療法・臨床検査値の目安などを手帳サイズのシールとして作成し、貼ったり、患者とのやりとりで知り得た臨床検査値を記入してあげる事で病気への理解が深まり、コンプライアンスの向上につながって行くことや患者-医療機関-薬局の連携が上手くいくことで治療自体がスムーズに進むといった利点も生まれてくる。さらにOTCに関してもアレルギーや禁忌を促すように添付文書等の簡略版を貼ってあげる薬局もあり、医療用医薬品とOTCとの重複や副作用の未然防止に役立っている。

電子薬歴の活用
 電子薬歴を導入しているところが多くなってきており、その使い方について様々な検討が行われていた。その中で興味深かったものは、糖尿病の自己管理に対する総合支援を電子薬歴で行うというもので、このシステムにより、全ての職員が患者の理解度を確認できるばかりでなく、投薬時に患者と一緒に確認する事もでき、不十分であれば、その点について指導し、またその内容を薬情にプリントアウトする。そのオーダーメイド性が素晴らしいと感じた。
 指導や記録にコンピューターを使用することにより、視覚的に分かりやすい指導が可能となる。患者に自分の病気や服用中の薬についての正しい知識を持ってもらう事はコンプライアンスの向上にもつながる。さらに、データの整理や検索が容易であり、鑑査機能等も装備しているため、手間の軽減、作業時間の短縮、ミスの減少が可能になる。しかし、使用者の能力によっては、それらのシステムを使いきれないどころか、余計な手間を増やす事になりかねないという問題もある。これからの薬剤師はこれらコンピューターを使いこなす能力が必須であると感じた。

企業ブース
個人情報の保護
 平成17年4月1日、個人情報の保護に関する法律が施行され、個人情報の取り扱いについて真剣に考える必要が出てきた。その例として、投薬カウンターがブースになっていて、他の患者の目を気にせず話ができる環境や患者の名前ではなく、受付番号で呼ぶ薬局が増えてきており、今後も増加していくだろうと感じた。また、患者側へ向いていた薬歴棚の向きを変えて、患者側から見えないようにしたというものには驚いた。これは個人情報が書いてある物を目の付く場所に保管しないという配慮とのことである。ちょっとした配慮でも薬局の姿勢として利用者にとっての安心感につながるのだと思った。
 個人情報の保護は常に気をつけていかなくてはならない問題であると改めて考えさせられた。人それぞれ受け止め方も異なるので気にする人としない人がいることも忘れずにいたいと思う。

ポスター会場 保険薬局におけるジェネリック医薬品(後発品)の有効活用に向けて
 患者からの後発品に関しての問い合わせを受ける事が多くなってきた。しかし、まだその品質には不安がある。ひとつの成分に多種類の後発品が出回る中で、何を基準に選ぶべきか、患者にどれを薦めるべきか、現状ではなかなか難しい。後発品には添加物の違い、溶出性の違いなど、先発品と異なる部分があり、効果に差が生じる恐れもある。包装単位の問題(100〜120錠の小包装が設定されているのは全後発品メーカーの約45%)、流通に関する問題(約80%が卸、20%が販社により販売)の早期解決の必要性も感じる。後発品の品質、適正使用についてはオレンジブックなどから薬剤師が鑑査し、疑義照会や医師への情報提供に反映させるべきであるとともに、先発品と後発品の比較試験を今後も実施していただき、後発品を選択する場合の資料として、公表していただきたいと思う。
 最近、安価なだけでなく、先発品と同等性を持ちながら、剤形、味、大きさなど製剤工夫された「ニュータイプジェネリック」が注目されている。このような利点も考慮して、医薬品を選択していく必要があると感じた。
 後発品の使用により、患者負担を減らし、コンプライアンス向上につながる事も考えられる。しだいに後発品の安全性、有効性の情報が増えてくれば、薬剤師が積極的に使用を薦めることも可能になると思う。薬剤師にとって後発品の選択は重要な仕事であると感じた。

がん治療と病院薬剤師
 国立がんセンターで行われているがん薬物療法の質向上においてのレジメン管理、注射調剤、がん専門薬剤師の育成についての報告は考えるべき点が多かった。
 国立がんセンターではレジメンという化学療法で用いられる薬剤について、投与量、時間、期間等を設定するシステムをとることにより事前にミスを防止したり、薬剤、患者の管理もしやすくなったとのこと。また、不要なレジメンを削除することで時間やコストを軽減し、よりスムーズなレジメン管理ができるようになったとのこと。
 化学療法において医師、看護師、薬剤師、放射線技師が主に携わっているが、現在、がん専門の制度は看護師にしかなく、医師や薬剤師には存在しない。がん治療において薬剤の適正治療、服薬指導、副作用の対処、説明はもちろん、疼痛緩和ケア、オピオイドローテーション、そして何よりもQOL向上が医療人に求められてくるだろう。そして今後がん専門の医療人の育成、発展はがん治療において重要不可欠となるだろう。
 がんが死亡率の第一位となっている現在の日本において、がん医療の発達・高度化が私たち医療人に求められてくる。今回の講演を聴き、がん専門の医療チームの大切さ、難しさ、大変さ、そして専門スタッフの育成・発展の重要性を改めて思った。

災害時における薬剤師の役割
 1995年阪神・淡路大震災、2004年新潟中越地震など国内のみならず、様々な自然災害が地球上で発生している。このような時被災から免れた地域から集まったボランティアの支援活動はとても大きな重要性を占めている。
 近年医療チーム活動における薬剤師の重要性を鑑み、チーム編成の中に薬剤師の役割が確立されつつある。その役割は医療救護所における処方支援、救援物資として被災地に送られてきた薬剤の整理・選別と配布、相談活動、手指消毒薬・含嗽薬の調整・交付などの公衆衛生としての活動、診療介助など医療の知識を持った医療従事者としての役割、医療チームにおけるロジスティックの役割もあると考えられている。
 災害時の支援活動において、お薬手帳の活用は大と考えられる。避難する際、常備してもらうことにより、今までの薬用歴や薬・食物に対するアレルギーなどが判断できる。このことは緊急時の医療活動には有用である。
 今後の課題としては、災害に対するマニュアル作成、医療関係団体との連携作り、備蓄薬剤の管理や防災訓練の参画などが求められている。災害医療や公衆衛生に対する知識の向上も不可欠である。

平和記念公園
薬学教育と実務実習への取り組み
 薬科大学は6年制にする事により、「医療人」として質の高い薬剤師を育成する事を目標にしている。平成14年8月には「薬学教育モデルコアカリキュラム」「薬学教育実務実習・卒業実習カリキュラム」がまとめられた。
 日本薬剤師会は長期実務実習受け入れのために認定実務実習指導薬剤師の養成、長期実務実習受け入れ薬局の整備、長期実務実習受け入れのための調整システムの整備の3事業を最重点施策として段階的かつ計画的な整備・推進を図っている。
 しかし、受け入れ側の薬局では実務実習テキスト等の教材を作成して、これからの後輩のために力を入れているところもあったが、日々の業務に追われて教える余裕の無いと思っているところも多いのではないか。大学・薬剤師会と薬局の間に温度差が感じられてならなかった。
 多くの学生を医療人としての自覚を持つ薬剤師に養成するのは、これからの「薬剤師」像として、とても希望のあるものだが、今薬剤師として働いている人たち全てが医療人としての自覚を持つような教育もまた、とても大切なのではないだろうか。将来実習生が薬局にやって来たら自分はどうすることが一番良いのか、改めてきちんとした信念・方針を持たなければと思う。


第40回 日本薬剤師会学術大会 in 神戸

第39回 日本薬剤師会学術大会 in 福井



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